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三十二年ぶりの…

by 仲しい茸園

 三十二年ぶりにリーフレットをリニューアルした。

 リーフレットは、長年お歳暮の時期など進物をご依頼いただいたお客様に、食べ方や保存方法など、しい茸を楽しんでもう為にお付けさせていただいているものだ。進物のスチロールの箱に、ヒバの緑色としい茸の茶色、そこに黄色いリーフレット。レトロ感がありながらも、色合いが良く僕は好きだった。今回それを思い切ってリニューアルした。

 リーフレットを作った頃は(今から三十二年前くらい)、マモちゃんとリンママが富男(とみお)さんから継いだ時代で、しい茸の生産者が増え市場の値段が下がってきていた時期。さらに今でこそ減ったものの中国から安いしい茸が大量に輸入され、非常に厳しい時代だったと聞いている。現在まで使われてきた、黄色いリーフレットはそんな時代に生まれた。どんな背景で生まれたのだろうか。

 今回リニューアルするにあたり、これまで使ってきたリーフレットができた経緯や、想いをリンママに聞いた。

「街から新しくできた日生中央へ、人が移住してこられていた時期だったんよ。それで、移住された方に猪名川町の名産を知ってもらおうと考えたのがきっかけやったわ」

リンママは、しい茸をトレーに詰める荷造り作業をしながら、語ってくれた。

「日生中央の駅前は当時はまだ何もなくて、ただの広場だったんよ」

今でこそ日生中央の駅前はショッピングセンター「サピエ」や「マルハチ」のスーパーがあり、ホームセンターや電気屋なども揃っていて、駅前広場ではフリーマーケットや夏祭りなどが催される地域の憩いの場であるが、三十年前には駅前にはまだ何もなかった。そんな当時は農協さんが年末には、地元で採れた野菜を販売する催しを行っていたんだそう。

「私たちも、猪名川の事を知ってもらおうと思って2トントラックに、しい茸や野菜などを積んで、そこで販売させてもらっていたんよ」

今でいうファーマーズマーケットのような催しものだったそう。他の農家さんはブースに野菜を並べて販売していたが、仲しい茸園は2トントラックを横につけて、大量のしい茸と野菜を、量り売りスタイルで販売したんだそう。そのスタイルも気に入ってもらえたのか、個人のお客様が沢山買ってくれることに手ごたえを感じたんだそう。

「年末のマーケットで、私たちの事を知っていただいた方から『お歳暮で送りたい』という嬉しいお問い合わせもいただけるようになり、宅配を考えるきっかけになったんよ」

それでできたのが、これまで使ってきた黄色い紙のリーフレット。猪名川の事や、料理方法など小さな紙に必要な情報がしっかりと書かれている。

「その頃のお客様が今でも続いているんよ、本当ありがたいこと」

そんな想いと歴史の詰まった黄色いリーフレット。今回リニューアルして、寂しい部分があるのではないかと心配になった。

「新しくなることは、私らは嬉しい事なんよ。今の世代は昔と違ってお歳暮なんかはしないし、しい茸の食べ方を知らない人も増えているしね。次の世代に知ってもらう方法を考えることは大切よね」

そう言ってもらえてホッとしたが、内心寂しい部分もあったと思う。

 今回のリーフレットは、人と栽培している場所を写真や文章で伝えること、オススメの食べ方を多めにすることなどを盛り込み、仲しい茸園のしい茸を楽しんでもらえることを大切にした。新リーフレットの作成には、ステキなご縁で山本梓(やまもとあずさ)さん、柴田裕介(しばたゆうすけ)さんが、サポートしてくださって、とても素敵なものが出来上がった。料理のセレクトや載せる情報、紙質や色合い等なんども打合せさせていただき、イメージを作るのをサポートしていただき、本当にありがとうございました!

 次の10年どんな時代になるのか、リーフレットに込めた想いのタスキを繋げて、より多くのお客様に喜んでいただけるよう日々積み重ねていきたい。

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